ヨタカ

ダンナが新聞を見て
「これ、スキャナでとっておかなくていい？」
と言った。

ヨタカの記事だった。

人里離れたキャンプ場で
よそのキャンパーが夕飯のしたくに忙しい時間
寝静まるまでの時間
寝静まってからの時間

私はヨタカがいるのではないかと耳をすませた。

ヨタカを見たことがない。
声を聞いたこともない。
あこがれの鳥だ。

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私はこのところ、家を片付けたりしている。

古い文庫本何冊かを
捨てようかどうしようか激しく迷ったりしている。

家から出すことが出来なかった「銀河鉄道の夜（宮沢賢治 新潮文庫）」を手に取った。
おじいちゃんの老眼鏡をかけて「よだかの星」を読んでみた。

ヨタカはここにいたんだね。
あなたはここまでヨタカを見ていらっしゃったんだね、と。

新聞記事は、取っておかない。
文庫本は取っておく。
ヨタカは今月下旬には暖かいところへ旅立つ（らしい）。

今日も酔っぱらい。

久し振りに里芋を煮た。